日本のトップアスリートが、子供の頃にマルチスポーツ(複数のスポーツ)の経験があり、その経験が、現在の競技に役立っているという話を聞いた事があるとおもいます。大谷翔平選手は野球と出会う前は、バトミントンと水泳をしていたそうです(1)。
シーズンごとに、いくつかのスポーツを行うアメリカの子供たちも、近年は一つのスポーツに特化(sport specialization)する傾向があり、特化することによりけがが増えたり、燃え尽き症候群(burnout)になる可能性が高くなることが言われています(2)。一方で、スポーツをする本人が、一つのスポーツに特化する理由に焦点を当てた研究は今までありませんでした。アメリカのジョージア大学(University of Georgia)が発表した論文では、子供たちが1つのスポーツに特化する動機は純粋で、そのスポーツの競争環境を楽しんでいるため述べられています。
ポイント:子供の頃に、一つのスポーツに特化することにより、怪我や燃え尽き症候群になることが懸念されている。一方で、子供たちが、一つのスポーツに特化する理由は、スポーツが純粋に好きというが理由であった。一つのスポーツへの特化をネガティブに取られるのではなく、好きなスポーツをより充実させるために、他のスポーツを取り入れるように勧めることが大事である。
タイトル:The Role of Athlete Competitiveness in High School Sport Specialization in the United States
目的:アスリートの競争心(楽しさと競争心)とスポーツの特化性の関係性の検証
対象:アメリカの高校アスリート975名
結果:全体として、アスリートの22.4%が高、34.8%が中、42.9%が低レベルの特化性あった。性別や年齢による違いは無かった。一方で、大学でスポーツを続けることを計画しているアスリートは、高い特化性を持っていた。そのスポーツの競争環境を楽しんでいるアスリートほど、特化性が高い結果となった。
結論:本研究は、アスリートの競争心(楽しさと競争心)はスポーツの特化性と関連していることを示した。スポーツを好きになることで、より高いレベルの特化性を促進する可能性がある。
参考文献
DiFiori JP, Benjamin HJ, Brenner JS, et al. Overuse injuries and burnout in youth sports: a position statement from the American Medical Society for Sports Medicine. Br J Sport Med. 2014;48(4):287-288.
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