アメリカの大学で部活動をする学生選手は、大学を選ぶ基準として部活動に関する事と同じくらい、大学で選択できる学部の数を重視している事が研究結果で示されています(Huntrods, 2019)。この傾向は、他の研究(Lin 他, 2017)でも見られることからも、学生選手は大学における学びに関して高い関心がある事が見て取れます。
以下統計でも明らかのように、大学からプロに行けるのは全体の数パーセントであり、キャリア形成に関しての意識は一般学生よりも高いと言われています。別のNCAAの調査では、学生選手は、大学での目的、ソーシャルライフ、コミュニティ、心身の健康や経済的安定に一般学生と比べ高い興味があることが分かっています。また、内定先に満足していると答えた学生選手の割合も、一般学生と比較して高く、就職後も精力的に働きたい環境(engagement)にいるかという質問に対しても、一般学生と比べても高いことがわかっています。
またNCAAでは、大学卒業後のキャリアを見据えての大学選びの為に、運動部の活動に加えて、以下のような項目を事前に確認し、自分に合った大学選びを推奨しています(NCAA、2022)。
学部の強みや指導教員について
卒業後の進路
学生選手の割合
部活動との両立
学修へのサポート
一日のスケジュール
キャンパスライフ
奨学金について
小野は、「日本におけるスポーツ推薦入試の形態は大学によってさまざまであり、受験生が学部を選べないことがある。一方で学部の希望を持っている受験生が少ないというのも事実。大学にとっての都合が優先されて学生が十分な自覚のないままに袋小路に追いつめられてしまう事態とならない運用のあり方を模索し、スポーツに青春を捧げる学生にキャリア選択の幅を与える制度であってほしい」と述べている(victory 2019)。
以上のように大学選びには様々な検討事項が存在する。よって、大学選びの際には、学生選手自身だけではなく、保護者や指導者、高校関係者などが協力をして、部活動と卒業後のキャリアを見据えての視点(デュアルキャリア)をもって、多角的に検討を行うことが必要ではないだろうか。
参考文献
Huntrods, Kaden. Analysis of Factors Influencing College Choice Decisions of Mid-Major NCAA Division I Swimmers. South Dakota State University, 2019.
Lin, Jon, et al. "Analysis of factors influencing the college choice decisions of NCAA division II elite track and field athletes." International Journal of Sports and Physical Education 3.2 (2017): 22.
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