留学生拡大時代における大学スポーツの新たな可能性 ―共に創るキャンパスの国際化―
- Masaru Ito

- 5月28日
- 読了時間: 4分
大学スポーツを活用し、留学生と日本人学生の交流と定着を促進するため、日常導線に組み込み短時間で参加できる仕組みを設計する。

1.背景
日本の大学は、18歳人口の減少が進む中で、安定的な学生確保のために留学生の獲得を重要な戦略として位置付けている。同時に政府も、留学生数の拡大と国内定着の強化を両立させる方針を掲げ、大学の国際化や高度外国人材の確保を推進している。近年では、留学生政策は単なる教育交流にとどまらず、人材確保や経済活性化と直結する重要な政策領域となっている(※1)。
こうした中で、留学生には日本語能力の向上だけでなく、日本文化を体験的に理解する機会を提供することが求められている。すなわち、大学は学びの場であると同時に、生活や社会とつながる場としての機能を強化していく必要がある。
2.キャンパスに求められる変化
留学生の増加は、キャンパスの風景や学生生活そのものに変化をもたらす。英語で学べる授業の整備は重要であるが、それだけでは十分とは言えない。大学には、日本人学生と留学生が自然に関わりながら学び合う環境の整備が求められる。小島(2015)は、日本人学生の8割は国際交流への関心がある一方で、言語やコミュニケーションへの不安を感じて、実際に行動に移せているのは5%程しかいないと述べている。また、JASSO(2023)の調査においても、留学生は生活習慣や文化の違いに戸惑いを感じる場面が多いことが示されている。これらの課題を踏まえると、双方が自然に関わるための接点を意図的に設計することが重要であり、それがキャンパス全体の活性化につながる。
3.なぜスポーツなのか
このような接点を生み出す手段として有効なのが、大学に広く存在するスポーツ資源である。スポーツは言語に依存せず、誰もが参加しやすく、共通体験を生み出しやすい特徴を持つ。また、競技だけでなく応援や交流といった要素を通じて、自然なコミュニケーションが生まれる。
さらに、日本の運動会のように、スポーツを通じて文化を体験することも可能である。身体を動かしながら文化を理解する経験は、座学では得られない学びをもたらす。このような特性を活かすことで、日本人学生と留学生が共に参加し、楽しみながら関係を築くことができる(※4・5)。
4.大学スポーツの役割と可能性
大学スポーツは、単なる課外活動にとどまらず、キャンパスの国際化を支える重要な資源として再位置付けすることが可能である。具体的には、学生同士が出会い、つながるきっかけを生み出し、大学への帰属意識を高める役割を担う。また、日本文化を体験的に理解する入口としても機能する。
重要なのは、これらの機能を自然発生に委ねるのではなく、大学が意図的に設計することである。オリエンテーションへの組み込みや、日常的に関われる仕組みの整備などを通じて、学生が無理なく参加できる環境を整える必要がある。これにより、スポーツはより多くの学生にとって身近な存在となる。
5.結論
留学生の受け入れ拡大は、キャンパスを多様で活力ある場へと変える可能性を持つ。その実現には、日本人学生と留学生が共に関わり、楽しめる環境づくりが不可欠である。大学スポーツを文化的資源として戦略的に活用することで、学生同士の関係性が生まれ、キャンパスの活性化と国際化を同時に推進することができる。今後は、大学が主体となり、こうした取り組みを意図的に設計・実装していくことが求められる。
6.出典
1.「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ<J-MIRAI> 」(第⼆次提⾔)案概要教育未来創造会議 令和5年4⽉27⽇ https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kyouikumirai/dai6/siryou1-1.pdf
2.小島奈々恵ほか(2015)「日本人大学生の国際交流に関する意識調査 ―『内向き志向』と国際交流意思の関係」『総合保健科学』31, 35–42
3.JASSO(日本学生支援機構)令和5年度私費外国人留学生生活実態調査概要



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